マンモグラフィーについてこのページを印刷する - マンモグラフィーについて

2015年8月25日掲載

診療放射線技師 北澤 彩

マンモグラフィー
 近年乳がんと診断される女性が増えています。2011年に(独)国立がん研究センターがん対策情報センターより発表された女性のがん罹患数のなかで最も多いのが、乳がんとなりました。そのリスクの割合は12人に1人とされています。日本で乳がんと診断されるのは、30歳から増加し始め、50歳前後にピークを迎えます。また、60歳代後半で再び増加する傾向があります。しかし10年相対生存率は79.3%と他のがんに比べて高く、特に早期発見であるほど治癒率が高いです。そのため、40歳になりましたら症状のない女性も2年に1度は乳がん検診を受けることが推奨されています。

当院のマンモグラフィー機器 日立 LORAD M‐?W
 マンモグラフィーは、乳がんを診断する方法のひとつで、乳腺・乳房専用のX撮影検査です。この撮影では触ってもわかりにくい1㎝以下の小さなしこりや、早期の乳がんの特徴である細かい石灰化を見つけることができます。
 マンモグラフィーの準備としては上半身の衣服はすべて脱いで頂きます。また眼鏡は外し、髪の毛が長い場合は後ろで1つに束ねて頂きます。撮影は乳房を挟みながら圧迫をして、上下方向から左右1枚ずつ、左右方向から1枚ずつ撮影します。乳房を全体が写るように前に引きだし、撮影台にのせます。乳房の厚みが4~5㎝になるように、圧迫板で上から圧迫をします。撮影時間は1枚あたり数秒で、圧迫時間もおおよそ10秒以内です。乳房を圧迫板では圧迫することは診断に必要な良い写真を撮るために、とても重要なことです。乳房は柔らかく立体的で厚みもあり、そのまま撮影すると乳腺や脂肪、血管などが重なり、実際に腫瘍があっても写し出されないことがあります。またその重なり自体が腫瘍のように見えてしまうこともあります。しかし乳房を薄くすることで鮮明な画像を得ることと、放射線の量も少なくすることが出来ます。圧迫をする際に個人差はありますが痛みはどうしても伴います。しかし痛みを軽減するポイントもいくつかあります。1つは乳腺の張りです。月経前や授乳中など乳腺が張っている時は痛みが強く感じやすく、月経が始まって1週間から10日くらいの張りの少ない時期の方が、痛みが少ないとされています。もう1つに緊張があります。不安や痛いというイメージから痛みに対して敏感になり、身体も強ばってしまいます。すると筋肉がカチカチな状態になり、立体的な乳房を薄く圧迫し撮影範囲以内におさめることが難しくなります。そのため、圧迫も強くなり技師が引き出すことも増えてしまい、結果として痛みがより強く感じてしまいます。ですので、緊張せずにリラックスすることが重要になります。

マンモグラフィーにより撮影された乳房の写真
 当院では女性技師が対応をしています。撮影前に全体の流れや圧迫の必要性などを説明させて頂いており、患者さんが不安に思っていることや気になっていることを伺い、不安感の無い状態で撮影に臨めるように努めております。また撮影中も常にコミュニケーションを取るように心がけております。診察は毎週水・木曜日の午前中に乳腺外来を行っており、人間ドックのオプション検査として乳がん検診も行っています。現在乳房にお悩みある方もない方もこの機会ご自身の乳房について考えて頂ければ幸いです。