「ゆめ水族園」を開催しましたこのページを印刷する - 「ゆめ水族園」を開催しました

2015年10月23日掲載

療育指導室 主任保育士 片桐 有佳

 重症心身障害病棟では、平成27年9月28日~30日、セイコーエプソンさんとの共催にて「ゆめ水族園」を開催しました。三日間を使い各病棟一日ごとに実施をしました。病棟のディルームには素敵な映像空間が作られ、海の生物が自由に泳ぎ回る様子が映し出されました。幾重にも重なる布状のスクリーンの中を通り抜けた時には、海の中にいるかと錯覚するほどです。また、天井と壁一面を使った大きなスクリーンに映し出されたクジラや白クマの迫力に圧倒されました。
ゆめ水族園看板
 会場への入口は暗幕で覆われ「ゆめ水族園へようこそ」の看板。普段使っているディルームなのに、一歩足を踏み入れた途端に「いつもと違うぞ」と雰囲気の違いを感じて少し戸惑ったり、見たことのない映像空間に目をキラキラさせて喜ぶ利用者の姿が印象的でした。動きのある布状のスクリーンに映し出された魚をつかまえようと手を伸ばす様子、柔らかい素材が顔に触れて気持ちよさそうに目を細める表情、もう一枚向こうには「何があるのだろう」と布をかき分ける仕草など、それぞれに空間を楽しんでいるようでした。二日目の布状スクリーンは回廊のように設定され、両脇に写された映像の中の通路を進んでいきます。四季の草花と水中の生き物がゆったりと動く光景に足を止め、空間の中に身をゆだねている利用者と職員が多かったです。
ゆめ水族園1
 横の壁にも天井にも映し出される映像に、各利用者が無理のない姿勢で体験できたことも良かったようです。切れ目無く動き回りながらもいくつもの水中生物が登場する画面に、目が釘付けになっていました。初めは体に力を入れて身を乗り出して見ていた利用者が、徐々に体の力を抜いて頭を車イスに付け、穏やかな表情に変わりました。リラックスができていたようです。
ゆめ水族園2
 病棟では、実際に魚を触ったり海に入るといった経験はなかなかできない環境ですが、緻密に計算された設定の下であれば、本物に近い疑似体験ができたようです。専門家の作り出す環境は、余分な刺激が入らずに映像を視覚的に捉えたり、手や顔での触覚を受け止めたり雰囲気そのものを感じ取れたのではないでしょうか。今回は専門集団による設定での体験となりましたが、この活動を応用させて日常の療育活動に取り入れることで、更なる日中活動の充実につなげていきたいと考えています。