熱中症についてこのページを印刷する - 熱中症について

2016年8月29日掲載

内科医長 黒澤 理恵

 暦の上では、立秋を過ぎていますが、まだまだ暑い日が続いています。皆様、体調など崩されていませんか?
 今回のテーマは「熱中症」です。熱中症と言えば、梅雨明け後から8月上旬にかけた頃が、最も危険な時期と思われる方も多いでしょう。
 先日、日本気象協会から9月の気温傾向と、熱中症傾向が発表されました。今年は、全国的に気温の高い状態が続き、昨年より残暑が厳しくなるとのことです。特に、山梨県などの内陸部は「警戒」あるいは「厳重警戒」ランクになる可能性もあるので、まだまだ油断できません。

熱中症とは

 熱中症とは、高温多湿な環境に、私たちの身体が適応できないことで生じる様々な症状の総称で、軽症のものから意識障害を伴う熱射病等の重症のものまで含まれ、時には命に関わることもあります。毎年およそ5万人が救急搬送され、多い時は1000人近くの方が亡くなる年もありますが、その中半数が65歳以上の高齢者です。熱中症がおきる場所は、屋内33%、戸外43%、運動中14%となっていますが、重症者の60%は屋内で発症しています。

熱中症の症状と分類

 
重症度 症状 対処法 症状から見た診断
I度
軽症
めまい、立ちくらみ、筋肉がつる、汗が止まらない、尿が濃くなる 水分と塩分の補給、涼しい場所で休む、服をゆるめる 熱失神
熱けいれん
II度
中等度
頭痛、だるさ、吐き気、嘔吐 涼しい場所で足を高くして休む、水分と塩分を補給してから、病院に行く  
熱疲労
III度
重症
意識障害、けいれん、手足の運動障害、高体温、肝機能障害 すぐに救急車を呼ぶ。車での間、水や氷で血管(首・脇の下・足の付け根)を冷やす、意識がない時は水分を与えない  
熱射病

どのような人がなりやすいか

 脱水状態にある人、高齢者、肥満の人、過度の衣服を着ている人、普段から運動をしていない人、暑さに慣れていない人、病気の人、体調の悪い人などです。特に高齢になると脂肪がつきやすくなる分、身体の中の水分の割合が少なくなり、暑さや喉の渇きを感じにくく、水分不足になりやすいのです。

熱中症になったときは

上の表のとおり、まずは涼しい所に移動して身体を冷やすことが重要ですが、
 ・ 本人の意識がハッキリしない場合
 ・ 自分で水分や塩分が摂取できない
 ・ 症状が良くならない場合は、直ぐに医療機関を受診してください。

やはり熱中症にならないようにすることが大切!

 家の中にいれば安心と思わず、暑い日は、部屋の温度・湿度をこまめに測ってエアコンなどを上手につかうこと。温度は28℃以下、湿度は70%以下が目安です。また、喉が渇いたと感じなくても定期的に水分を摂りましょう。スポーツドリンクや経口補水液も大量に汗をかいた時は有効ですが、糖分が多く入っているものもあるため、血糖値が高めの方は気を付けてください。水分と言っても、アルコール飲料は、利尿効果があり、摂った以上に水分が身体の外に出てしまうので、注意が必要です。
 また、暑さに負けない体力作りのため、朝夕の涼しい時間帯にじっとり汗をかく程度の運動を1日15~30分、1週間に4日以上運動を続け、運動直後に牛乳をコップ一杯(200ml)飲むと、熱中症になりにくいと言われています。
 環境省が出す暑さ指数や気象庁が出す高温注意報をテレビやラジオ、ホームページなどを参考に、残暑を乗り切りましょう。